箱根の坂〈上〉

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箱根の坂〈上〉 (講談社文庫)

またまた司馬さんの作品です。

こちらも文句なしの名作です。
晩年に書かれたものだけに円熟の極みと言っても良いでしょう。
今様という歌が作中頻繁に出てくるのも面白い。
上巻では北条早雲がまだ伊勢新九郎と名乗っていた頃のお話です。
足利義視(将軍の弟)に仕え、
地味な役職たんたんと過ごす。
やがて義視のもとを離れ浪人するうち、
今川家に入った妹、千萱との再開が早雲の運命を動かし始めます。

変革期の物語は展開がテンポ良く退屈しません。
また丹念に当時のものの考え方や雰囲気を描き出しており、
面白いです。

応仁の乱に関する記述で面白かったところを切り抜きます。

 [いつはじまり、いつ終わったかということもないこの大乱には、主  役がない。
  正義も名分もない。
  意味もなかった。しいていえば、生物のむれが、地方々々の巣から  京へ這いのぼってきて、無目的に自己減殺しあうようにして、たが  いに争闘し、殺しあい、古くからつづいた権威の象徴である寺社を  焼きつくすという生態そのものに意味があったかのようである」

この後早雲に(ばけもの同士のたたかい)とまで言わしています。


中だるみなく飽きずに読めます。
つづきが楽しみです。
お勧めです。


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